天使の舞―前編―【完】

  想いは叶う

天王宮、謁見の間。


そこには、天王ウェルザの命令で、豪奢な装飾が施された立派な椅子が一脚、恭しく用意された。


言わずと知れた、魔王アカツキの為に、用意されたものだ。


父がここに来る。


いろいろな思いが頭をよぎり、アマネは未だかつてない程に、緊張していた。


今、このタイミングで、しかも天界の王宮で、父に対面する事になるなんて、思ってもいなかったからだ。


「アマネ様。」


緊張の色を隠せないでいるアマネを、シラサギは気遣った。


「腹をくくらなきゃいけないな。
父上の思惑が分かった以上、天王妃が危険だ。」


「天王妃様が・・・ですか?」


アマネは静かに頷くと、意を決してウェルザに声をかけた。


「覇王様!」

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