遊びじゃない
こんなのってナイよ


「ひぇ~…ちっちゃ……しわしわ…、柔らかい。……かわいい。」

ロボットのように両肘を90度に保ったまま、足の指さえ1ミリたりとも動かせない。

想像よりもはるかに軽いふにゃふにゃの体を、落とさないように起こしてしまわないようにただそれだけに神経を集中させる。

「麻央…それじゃあ起きちゃうかもよ?」

ニヤニヤと面白がって私を脅かす親友の顔にさえ視線を向けることができない。

手(正確には腕)の上で長い睫毛を伏せてすやすやと眠る天使は、結愛(ゆあ)ちゃんと名付けられて、私の贈ったバーバリーのベビードレスを纏ってる。

ほんとに…天使みたい。『すやすや』って単語はこの子の為にあるんじゃないかと思うくらい、静かに眠ってる。
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