遊びじゃない
アリエナイよね

麻生さんの連絡先でさえ取得する前だったことが幸か不幸か、連絡の有無をビクビクしながら待たなくてよかったわけで。

でもやっぱり、携帯の番号も知らないのに相手の体は知ってしまったあたり、一夜限りの相手だってことを認めなきゃいけないような気もして。

朝から何度目かわからない溜息を軽く吐き出し、会社のビルに足を踏み入れる。

基本外回りの麻生さんと社内で会うことはかなり少ない。唯一危険なのは社食だけど、今日はとりあえず美織を誘って外に出てしまえば回避できる。
この際美織のお気に入りのイタリアンの2000円ランチだって奢る覚悟だ。


私が麻生さんを避ける理由はないのかもしれないけれど、会ってどんな反応を返されるのかが怖い。知らない人みたいに素通りでもされたら、さすがに私も再起不能になりかねないし。


< 49 / 266 >

この作品をシェア

pagetop