「マキ」



後ろから掛けられた声に振り向くと、クラス担任の芝崎(シバサキ)が駆け寄ってくるところだった。



あーあ。

朝から厄介な人物に出会ってしまった。

私は仕方なく足を止めて芝崎を待つ。



「おはよう」

「おはようございます」


頭を下げながら隠れて眉をしかめる。


「ちょうど良かった。学校まで歩きながら少し話そう」

「…はい」


一生徒である私に拒否権はない。

仕方なく芝崎の横に並んで歩きながら、私は口の中で溜め息を噛み殺した。





まだ登校には少し早い時間のせいか、生徒の姿は少ないけれど---それでも追い越し際に芝崎に挨拶しながら横を通り過ぎる生徒達からは、容赦なく注目を浴びる。



だからイヤなのに…

学校では空気のような存在でありたいと、日々目立たないよう気を配る私の努力が水の泡だ。


芝崎は生徒たちに声を掛けられる度、にこやかに挨拶を返していた。


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ヤクザ  裏切り  再会  年の差  秘密  過去  偽り  禁断  狂愛  極道 

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