さよならまた逢う日まで

第４章

何も変わらず1日が進んでいった。


黒板に書かれる文字をぼんやり眺め、耳に入る言葉はそのまま流れ出て行った。


遅れていた授業を終えると生徒は体育館へと集い


終業式が行われた。


明日からの解放された日々に誰もが話には集中せずざわついていた。


教師たちもそれを誰も咎めずとりあえずのように進められた。



教室に戻ると明日からのプランをそこかしこで話し合い悲鳴に近い笑い声に溢れた。




部活のないものはさっさと教室を後にし少しずつ落ち着いていった。




桜井とはあれ以来言葉を選んでしまいどちらからともなく距離を作ってしまっていた。



しゃべっていると騒がしくうっとうしい男だが、しゃべんないとなるとまるで影をなくす。



極端な男だ…。




机の荷物をリュックに投げ入れると桜井は逃げるかのように教室を出ようとしていた。




「俺避けられてんの？」



ビクッとして桜井は立ち止まった。


「お前こそ…俺に距離作ってんじゃねーよ」


桜井は振り向きもせず言った。


「昼飯…一緒に食わねぇ？」


その言葉に桜井が少し振り向いた。


「帰えんじゃねぇの？」


「ボール蹴りに行ってもいい？」


豆鉄砲を食らった表情で桜井が振り向いた。


「部活…やんのか？」


「もしかして俺すでにクビになってる？」


「んなもんなってねぇ～よ。お前抜いたら試合出れない人数だからな」


「今更だけど、俺の後悔の一つがこれだったんだろうなって」


俺もリュックに荷物を投げ入れた。


何気ないことだけど、この席に着くことももうないんだな。


一瞬気持ちが崩れそうになった。


「何？！俺お前の心動かした？」


いつもの調子に戻り桜井がニヤニヤと近寄ってきた。



「まぁ…そう言うことにしとくか。」


俺は教室の後ろの出口に向かった。


「え？！マジ？やけに素直じゃん。」


桜井が後をついてきた