テディベアの彼女
過去から未来へと
「りょう…、さん?」


私の腕を掴んでいた手が、ぴくんと反応した。

一瞬の間があって、有人さんは少し目を伏せ、そのまま私から顔を逸らした。

そこから暫くの間の後に、有人さんが喋りだしたその声は、もう震えてなどいなかった。


「いたんだよ、昔。この家に。」


「…え?」


それは、まさか。

いま、私が聞こうとしていた…


「知りたかったんでしょ?言われなくても、君は表情に出やすいからわかるよ。

…いいよ、教えてあげる。
僕たちの過去。幹斉くんの過去。」


代わりにその声には、嘲りと絶望、悲しみと怒りの全てが混じっていた。





「テレビとかみてればわかると思うけど…
幽霊とかそうゆうのに、取り憑かれやすい子っているんだけど、
そういう子は、すぐに祓えないような霊を憑けてる相談者の身代わりにするのに丁度いいんだ。

だからよく利用されるけど、それにはリスクも勿論あって、

取り憑かれていればいるほど生気は蝕まれるし、
それが祓いきれないときは、その人自体に封印して一緒に死んでもらうことになる。」

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