青い星〜Blue Star〜




「となると、奏さんは帰る場所がないのだね。」



「そうなりますね。」



まるで他人事のように暢気に相槌を打つ奏。



「そういうわけで新撰……おっと。壬生浪士組に衣食住の確保にご協力頂きたいなぁーなんて…。」


近藤は驚いた。

人斬り集団、幕府の犬、壬生の狼などいらん四つ名までつけられている壬生浪士組に世話になりたいなど言い出す目の前の娘ににだ。

ふと土方と目があった。

すまんと言うように片手を上げている。



成程、あのトシが言いくるめられたのか。



なかなか返事を出さない近藤に奏は焦ったのか。




「私、壬生浪士組大好きなんですよ!私の時代でも貴方たちとても有名で!だから衣食住を確保してくれたら貴方たちの為に頑張りますから!これでも医者です!武術もいけます!料理も得意です!だから拾ってーーー!!!!!!!」




面白いからもう少し悩む素振りを見せようとしたが流石に可哀想になってきた。


まぁ、トシが彼女に負けた時点で俺の答えなんて決まっているのだが。


トシは俺みたいな感情で突っ走る奴じゃなくて、頭の回転が早く、物事を冷静に見定めることができる信頼がおける奴だ。


そんな彼が認めたならば俺は文句は言わまい。



「判った!沖田奏さん、君を歓迎しよう。但し働かざる者食うべからず。住み込み女中として壬生浪士組に尽くしてくれ!」



あれ?
彼女の働き口と衣食住を提供したのに何故そんな不満そうな顔をしているんだ。


俺が首を傾げているとトシが苦笑しながら「近藤さん。」と言った。



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