朱雀の婚姻～俺様帝と溺愛寵妃～

危険な甘味、の巻

さて、話は戻り、暁が女たらしだったという衝撃の事実を知ってしまった柚。


そういえば、出会った初日に襲われそうになったり、やたらキスが上手かったりと、事実を知った今となれば、思い当るふしがいくつもある。


むしろ、暁に女性経験がないという方が不健全だ。


そうは思うものの、すぐには割り切れないというものが乙女心だ。


(彼女は私がお手付きの立場と同じと言ったけれど、全然同じじゃない。

だって私は暁とキス以上のことをしたことがないのだから。

昇香さんって人の方が暁と深い仲にある。

それに暁はこの前、私とのキスを避けたし……。

いつも拒んでばかりいたから、嫌われてしまったのかもしれない)


　柚は途端に焦ってきた。今まで暁の優しさに甘えて、伸ばし伸ばしにしてきたけれども、暁が耐えられなくなって他の女性のところに行ってしまう可能性は十分あるのだ。


暁の周りには沢山の綺麗な女性がいて、しかもその女性たちは暁の訪れを待っているのだ。


　そして柚はその晩、もやもやする思いを由良にポロリと漏らした。


「なあ、由良。もう暁は私のことを好きではなくなってしまったのかな」


　柚の身なりを整え、部屋を退出しようとしていた由良は、独り言のように漏らした柚の言葉に驚いた。
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