ドメスティック・エマージェンシー
第十七章
エスプレッソを一口含むと、後味を残してくる濃さが口内に広がった。

もう三十分経過した。
他に喫茶店など見見当たらないし、ここに間違いないのだが不安になってくる。

まさか追い出すための口実か。
……それなら突き出せばいいのに。
中途半端な優しさ、挙げ句の果てには期待させるなんて。

ため息を吐き、立ち上がろうとした刹那「遅くなった」と息を切らしながらなおがご到着した。
唖然とする。
もう来ないのだと決めてかかっていた。

私の向かいの席に座り、メニューを手に取って「座んねえの」と疑問を投げかけてきた。
我に返ると途端に安心して、力が抜けたように再び椅子についた。






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