タイムカプセル
タイムカプセル
二十周年の同窓会に出た。
皆、年相応の姿になっていた。
社会人生活に疲れた様子の男。子供の世話が一段落したような女。くたびれたネクタイ男は煙草を噛んで立っている。

会場は立食形式のパーティーで、気持ちよく酔えた。
が、久しぶりに会う友人は、私の薬指に結婚指輪がないのに目敏く気づく。

「別れたの?自慢のご主人だったじゃない」

「え、ええ。色々あって」

好奇心に満ちた彼女は、不躾に理由を問うてきたが、私は曖昧に微笑んだ。
そのとき。

「あ、こんなところにいた。七緒、彼氏とは最近どうなの?上手くいきそう?」

降ってきた救いの手。
なんだ、彼氏持ちかと納得して彼女は他の友人のもとへ歩いていく。
ホッとした。

「彼氏の存在主張しておかないと、あの子、七緒を負け組扱いして笑い者にしたわよ」

側で忠告する親友は、厳しくも優しい。
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