タイムカプセル
「そろそろじゃない?」

私は腕時計を見る。時刻は夜の九時を指していた。

私達はこの後、母校の校庭に行くことになっている。
そこに二十年前に埋めたタイムカプセルがあるのだ。
初めはスコップで。
埋まっている鉄製の箱が見えてからは、軍手をはめて。
掘っていく。

同時に私の顔色は青ざめていた。
誰にも見られてはいけない。

大きな鉄の缶が土の中から出てきた。

「七緒?」と、親友が驚くくらい、私は急いで缶の箱に詰め寄った。

蓋を開けて、中をあさると小さなくすんだ紙箱が入っていた。
子供の字で、自分の名が書いてある。

「七緒、見つかった?」

親友が肩を叩く。
私は箱を落としそうなほど取り乱したが、皆が中を開けて懐かしむ間に、箱をポケットにしのばせた。
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