隣の彼の恋愛事情
「このことを知ってるのは、社長と俺とお前だけ。」

「だとしたら、バレたらお前がバラしたってすぐにわかる。
そうなったら、俺は別に困らないけどお前はただで済むと思ってんの?」

ゾクリとするような意地の悪い笑みを浮かべる。

「あ~せっかく頑張って仕事してたのに、クビになるなんてオマエかわいそうだな~。」

「く、クビ?何で私が!!」
びっくりして、声が裏返る。

「叔父さん俺にはやさしいんだよな。だから俺の言うことなんでも聞いてくれんの。」

(このボンボンめ~)

「オマエのこと仕事できない使えない奴って言っておこうかな~。」

「どうしてそうなるの?困る!」

「困らせてんだよ。」
次は心底楽しそうに笑い始めた。

くそー!鬼、悪魔。せっかく弱みを握ったのに。完全に形勢逆転。

「よーくわかっただろ?観念して、これからは俺の言うことしっかり聞くんだな。」

「何で?秘密はばらさないわよ。どうして、それがあなたの言うことを聞く話になってるの?」

「クビ・・・。この就職氷河期に再就職は厳しい―――――」

「わ、わかりました。言うこと聞けばいいんでしょ?」
私はもう、どうとでもなればいいと思ってそう叫んでいた。

「よろしい。」
そういったアイツの笑顔が超絶かっこよくて思わずとれてしまった。

「よろしくね、俺の下僕ちゃん♡」

――――







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