†captivity†(休載)

──お泊まり



なんということでしょう?

和歌の反論をものともせず、その計画をほぼ強制されたあたしは、呆然としたままいつの間にか心くんに連れられてその部屋に……心くんの部屋へと招かれていた。

ソファーに座らされ、そこで空を見つつ頭の中を処理する。



「綾愛さん……強行突破……」

「まぁ、水が嫌なら入らなければいいだけだ。俺も付いてる」

「確かに……。そうか、別に入らなくてもいいのか」



かつてのプールの授業のように、強制されるものでも、テストされるものでもない。

単に娯楽施設へみんなで行くというだけのことなのだ。

水の中に入らなければ済む話。



「でも、それだと心くんもプールに入れないんじゃ……?知歌連れて行っていいなら連れて面倒見させるので、自由に遊んできていいですからね?」

「そんなとこまで連れて行く気なのかよ」

「保護者みたいなもんですからねぇ。特にプールとなれば」



あたしの苦手な場所、となれば、知歌は不安が強まるだろう。

いくら心くんがいるとしても、強い不安は避けられないだろうし、それなら一緒に行くのがベストだ。



少しずつ離れる練習をしているとはいえ、過剰な不安が予測出来るものから急に離すのは、きっと知歌の体にとっても毒になるだろうから。



「お前、弟と仲いいっつーより、依存し合ってるよな」



特に嫌がっているような素振りはないけれど、確信を突いた答えに辿り着いていた。

心くんの言うように、あたしたちの関係は単なる姉弟のそれに留まれていない。



「心くんが知歌のこと、どこまで知っているのかはわかりませんが……。依存し合ってるのは間違いありませんし、あたしたちも自覚しています」

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