隣に座っていいですか?
貴方に包まれて

それから
桜ちゃんに会えて
話ができたのは

三日後の朝の話。

いつもなら
私の姿を見ると『いくちゃん』って駆け寄ってくれるのに

「いくちゃん。おはようございます」
笑顔を見せてはくれたけど
行儀よくお友達と歩きながら
お店の前を掃除する私に軽く言い、手を振っておしまい。

桜ちゃんの登園時間に合わせ、玄関掃除をしているのに。

恋人の心が見えなくなり
ただ待つだけの女子みたい。

肩を落として店に入る。

「桜ちゃん行ったか?」
頑固親父が声かける。

「うん」

「可愛いよなぁ」
桜ちゃんの名前を出すと、みんなニコニコ。

可愛い桜ちゃん。

あれから
なんだか
そっけない

気のせいかな。


嫌われたかな。

桜ちゃん
達也が好きだったのかな
初恋の相手とかだった?

桜ちゃんに
嫌われたくないなぁ。

幼稚園児に一喜一憂。

何をやってんだろ私。

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