この恋は、絶対に秘密!
:*:お嬢様、お逃げなさい
夏の夜空を彩る花火は幾度も打ち上げられ、綺麗な花を咲かせていたけれど。
私の恋心は線香に点いた火のようにそれ以上は燃え上がることはなく、いつもと変わらない日々を過ごしていた。
このまま燃え付きませんように……と願う、8月最後の金曜日に
──事件は起こった。
「お嬢様!お帰りになって早々すみませんがこちらへいらしてください!」
「は……えっ!?」
仕事を終えて帰宅した途端、家政婦さんの一人である汐美(シオミ)さんに背中を押されて強制的に誘導された。
なんだか急いでる様子の汐美さんに「何事!?」と聞いても、「後程ご説明致しますわ!」と言われるだけ。
何が何やらわからず連れて来られたのは、お母さん専用のドレスルーム。
中にはもう一人の家政婦さんが待ち構えていた。