バイト先へと向かう私の足はやたらと重くて、自転車を漕ぐのも面倒なほど。果たして重いのは体なのか、気持ちなのかよくわからなくなってくる。


体調はすこぶるいいし、寝不足でも何でもない。彼のことを言わなければならないのかと思うと気分は下降線を描いていた。


自転車を停めて事務所の入り口へと向かう私に、全速力で駆け寄ってきたのは海斗。


「おはよ、どうした? 背中曲がってるぞ?」

「うん、もう年なのかなあ……」


浮かない返事をすると、怪訝な顔で海斗が首を傾げる。


いつもの私なら、『曲がってない、おばあちゃんじゃないんだから』と笑い飛ばしていたかもしれない。


だけど、今は無理。
とても笑える余裕がない。


彼のことを一番疑っているのは海斗だ。その彼がここで働きたいなんて言ったら、海斗は何て答える?


考えただけで、溜め息が漏れる。


「悩みなら後で聞いてやるから、な?」


と、海斗は私の肩をポンっと叩いて事務所の扉を開いた。



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