上司と上手につきあう方法【完結】

私の視線の先には、朝陽がいた。

と言っても、伴ちゃんと一緒だけど――

楕円のテーブルに座って、部長含め、お偉いさんと打ち合わせ中だ。


彼は我がダブルベリーの通販アプリの開発のため、ネット事業部の伴ちゃんのところにいるのだけれど、内容に関してはやはり企画営業部も避けては通れないため、打ち合わせと称して、時折姿を見せるようになったのだ。


敏(サト)い朝陽は、私の一瞬の視線に気づいたようで、視線を持ち上げてほんの少しだけ、微笑みを浮かべる。

注意深く見ていないと気付かないような、そんな意味深な微笑みだ。



「っ……」



見ていたことはもうバレバレなのだけれど……。

慌てて椅子に座りなおし、真面目な顔を作って、PCのディスプレイをにらみつけた。


朝陽から『やり直したい』と言われてからそれなりに時間は経っていて。
相変わらず私の企画は通らず、季節は梅雨へとさしかかっていた。



< 110 / 361 >

この作品をシェア

pagetop