※公開終了間近! イロモノなアタシ
店子の恋
店子(ミセコ)=二丁目で働く店員さん の意味。


ゲイでもオカマでも、ニューハーフでもおなべでも皆この呼び方。


金曜日の夜は、街中がわき上がり常にどこかで大騒ぎになっている。


お客さんの見送りに店を出ると、ガタイがいいヒゲの熊ちゃん系同士のキスシーンに遭遇した。


休憩の時にコンビニへ行けば、薄汚れたオジさんと若くてイケメンが仲良く並んで雑誌を立ち読みしている。


ド派手なドラッグクィーン(女装)さんが、そこそこ有名なミュージシャンと腕を組んで歩いて……。


皆、どうしてそんなにラブラブなんだろう。


「なーにため息なんかついてんの? シホさん」


ロッカーで休憩をしていたら、すっかり店に慣れたミミちゃんが笑いかける。


「えー、色々あってさ」
「ため息つくと、幸せが逃げるわよ」
「そう言うけどね、まあ、つきたくなる時もあるし」


そう、あれ以来、鳴瀬さんは仕事の終りが早いとマメに店へ顔を出すようになった。
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