Only One──君は特別な人──
「とぼけないでよ。あたし竜くんが彼女と一緒にいるところ見たんだよ」

まぁ。その出来事があったから貴広とつき合うきっかけが出来たんだけど。

「…あの場所にいたんだ。クリスマスのことなんて今まですっかり忘れてたよ」

竜くんはそう言いながら、車を空き地に停めた。

外はすっかり暗くなっている。

貴広は今頃家で何をしているんだろう? まさかあたしが竜くんといるなんて思わないだろう。

浮気をしているようなそんな気持ちになり、胸が痛んだ。

「もえ、オレ達が出会った時のこと覚えるか?」

「…う、うん」

素直に返事をして我ながらバカだと思った。
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