シークレット・ガーデン
元カレ、メル友


砂川司とは、真彩が23歳の時から三年くらい、恋人同士だった。


司は、真彩より二つ歳下で付き合い始めた頃は、経済学部に通う大学生だった。


9年前。


[昨日、彼氏と別れて悲しいから、
海を見たい気分だな…]




おセンチ優美子のそんなメールに付き合って、晴れの休日、わざわざ江ノ電に乗って、七里ヶ浜までやって来た。


「ね、真彩。男ってさ、なんだかんだ結局、面倒臭いよね〜
最初だけじゃない?楽しいのって」


「そうそう。一人の方が楽って思う時、結構あるう」


そんな真彩だって彼氏なんて、このところずっといなかった。


二人で笑いながら、砂浜に降り立った途端、優美子の携帯が鳴る。


なんと別れたはずの彼氏から、謝罪とヨリを戻したいとの電話が入ったのだ。


「ごめんね〜!ほんっとごめんね!
今度、私のおごりで飲みに連れて行ってあげるから!」


優美子は眉根を寄せて、でも口元は喜びを隠せない感じで真彩に手を合わせた。


この頃まだ優美子は、男のペースに合わせる恋こそ命の女だった。


「まじ?やったあ。
全然、いいってば。
私、海見てノンビリしてから帰るし。
職場にお土産で、江ノ島の酒まんじゅうでも買っちゃおっかなあ!」






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