お茶の香りのパイロット
アルミス・レイ・ロングリエ 自称25才。

若いわりに落ち着きがあって喫茶店のマスターにしても実年齢が若すぎやしない?
とフィアは首をかしげた。


(食事中も、もっと根掘り葉掘り私のことをきいてくるのかと思ったのに、まるで何もかも知っているかのように落ち着いたままだわ。

どういう人なの?いくら社会的に疎い人でも、私の着ていた軍の服を見れば私を匿っていいことなんてないって思うでしょうに。)


食事を済ませて、アルミスがカップを片づけると、フィアにジョギング用のジャージを手渡した。


「あのう・・・これに着替えて走りにでも行くんですか?」



「いや、走る・・・っていうかちょっと走るかもしれないけど、体はいっぱい動かしてもらうことになると思うからね。

まぁ、運動すると思ってくれていいよ。」



「は、はぁ・・・。」



フィアは何をさせられるのかわからない不安を抱えながらも一宿一飯の恩義もあるし・・・と悩みながらジャージに着替えてアルミスの後をついて部屋の壁の裏にあるエレベーターに乗った。


「か、隠し部屋?隠しエレベーター???」


「ねぇ、面白そうでしょ。わくわくしてきた?」


「な、何をたくらんでいるんですか・・・あなたって?」



「アルミスですよ。アルミス。あなたには・・・いや、フィアにはアルミスと呼び続けてほしいです。」


「えっ??(わけわかんない!)」



エレベーターが止まったところに出てみて、フィアは大声をあげた。


「うっそぉーーーー!ロボットなんて。
ここって格納庫じゃないですかぁ!!!」


青とシルバーのカラーリングをした巨大ロボットが立っていた。

そして、フィアの耳に夢で聴いた声がしてきた。


「やっと会えたな。
我が主の言うことをしっかりときいて、いっしょにがんばっていこうな。」


「ロボットが・・・しゃべったの?」


フィアの問いにさっと今度はアルミスが答える。


「ごめんね~、こいつ私の一部なものだから、好奇心旺盛でね。
喫茶店の名前と同じ『ラーガ』っていうロボットです。

ただ、普通のロボットとは違うんです。
人の愛する能力を使って動くロボットなんでね。
愛情深い人しか動かすことができません。

あなたは以前、恋に破れた経験があって今も人を恋しいと思っている乙女ですよね。
だから、十分この種のロボットのマスターとして適用されます。

そして、このラーガを初め、これから仕上げていくロボットたちを設計し作成するのは私です。」


「じゃ、アルミスは科学者なの?・・・アルミス博士って言わないと?」


「うーん・・・。博士はここではよく呼ばれるんですけどねぇ。
フィアは私と同じ位置のパイロットでもあるので、アルミスと呼んでほしいです。」


「で、私はこれから何をすればいいの?」


「それはですね・・・これから君の動きのクセなんかをいろいろ試してデータ化して君のロボットを作ろうと思っているんですよ。」



「私のロボットですってぇ!!どうして?
いったいこんなの作って何をしようっていうの?

まさか・・・あなたも世界征服なんてことを・・・。」



「そう思いますか?
私が大陸すべてをロボットを使って力で牛耳ってしまうと思いますか?」



「ぜんぜんそんなふうには思えないんですけどぉ・・・。」



「はいっ。正解です。」
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