愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
第4章

◆嘘



―――3月31日
明日、龍司はこのマンションを出て実家に帰る。


年度末で忙しくしてたから、それほど一緒には居られなかった。今日も接待で遅くなると連絡があったばかりだ。


暫く会えなくなるのは、正直、寂しい。でも、莉子ちゃんのあの悲しそうな顔を思い出すと、我慢しなきゃいけないんだと強く思う。


やり切れない思いで缶ビールを数本開け、窓の外の夜景を眺めていると携帯が鳴る。


龍司からだ…


「はい…」

『真央、風邪薬ってあったよな?』

「えっ…う、うん。あるけど…」

『そうか!じゃあ、出しといてくれ。今、下の駐車場だから…』


ピッ…


それだけ言うと、携帯は切れた。


風邪薬って…龍司、風邪気味なのかな?でも元気そうな声してたけど…


不思議に思いながら風邪薬を出し龍司を待っていると、玄関のチャイムが鳴り、ドンドンと扉を叩く音が響く。


なんなの?


慌てて玄関の扉を開けると、龍司が和弥を抱えて入って来た。


「どうしたの?」

「桜井のヤツ風邪みたいで熱があるんだよ…」


見ると、虚ろな眼をした和弥が辛そうに肩で息をしている。


和弥…


「とにかく…こっちへ…」



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