愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】

リビングのソファーに和弥を寝かせ熱を測ると38.8℃


「結構、熱あるじゃない…」

「あぁ、朝から調子悪かったみたいなんだ。我慢して夜まで俺に付き合ってたから酷くなったみたいで…全く困った奴だよ」


そう言いながら呆れ顔の龍司が水の入ったグラスを和弥に差し出す。


「…すみません」


私は寝室から毛布を持ってきて和弥の体にソッと掛ける。その時、指が微かに和弥の熱い頬に触れ、慌てて手を引っ込めた。


ドキドキドキ…


ヤダ…私、まだ和弥を意識してる。


「とにかく寝てろ。明日は会社休んでいいから…」


バスルームに向かった龍司が私を呼び、ネクタイを緩めながら申し訳なさそうに眉を下げ言う。


「すまない…今夜一晩アイツ泊めてやってくれ…アパートに帰っても誰も居ないし、心配だから…」

「うん…分かった」


平気な顔でそう答えたけど、内心穏やかではなかった。和弥と一つ屋根の下で一晩過ごすのだと思うと冷静では居られない。


龍司の着替えを脱衣所に置きリビングに戻ると、和弥はもう寝息をたてていた。戸惑いながら静かにソファーに近づき和弥の顔を覗き込む。


「和弥…」小声でそう呼んでみた。


もうあなたをそう呼ばないと決めたのに…でも、聞こえてないからいいよね。今だけ、そう呼ばせて…


もう一度、私は彼の名を呼び、無防備な寝顔の和弥を複雑な想いで見つめていた。


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