甘い恋の始め方

複雑な気持ち

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「今日一日休んだ方がいいんじゃないか?」

翌日の朝食を食べているとき、悠也はこれで何度目か同じ言葉を口にしていた。

「本当にもう大丈夫です。平熱に戻りましたし、そんなに過保護にしないでください。普段はぐーたらなんですよ? そんな風に言われたらきっと休んでゴロゴロしています。だけど、急ぎの仕事があって行かなくちゃダメなんです」

「急ぎの仕事か……それなら……」

悠也は仕方ないなと呟くと、箸を置いた。

「だけど……」

理子は小さくため息をついて言葉を切った。

「だけど? 心配事でも?」

悠也が軽く首を傾げて聞いてくる。

「会社へ行ったら、きっとみんなからの質問攻めにあうかと思うと……」

「憂鬱?」

「えっ? 違います! 憂鬱じゃなくて、なんて言おうか困っているんです」

「困ることはないだろう? 普通に婚約したと言えばいい。来年挙式すると」

悠也はいとも簡単に言うが、考えてみても言いづらい。

じっと見つめられて理子は曖昧に頷く。

「やっぱり指輪、緩いんだね?」

「あ、そうなんです。高価な指輪を落としたらいけないと思って」

「じゃあ早急に直しに出そう」

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