恋の糸がほどける前に

♯ 3 図書室と秘密


♯3


「なんか最近、あんまり水原くんと雫さん一緒にいないよね。水原くん、お昼も教室で食べてるし。何かあったのかな?」


パクッ、とお弁当を口に運びながら、芽美が何気なくそう言った。


「そう、かもね」


芽美に曖昧に笑って、私もお弁当を食べ進める。

今は昼休みで、芽美と机を合わせてお弁当を食べているところ。


「……葉純も何も聞いてないんだー」

「聞くも何も、最近水原と全然話してないし」

「そっか」


頷くと、ちゅー、と紙パックのお茶をすする。

芽美はそれ以上その話題に触れてはこなかった。


ちらり、と視線を横に向けると、芽美の言うとおり水原がクラスメイトとご飯を食べている。


まるで、雫先輩と付き合い出す前みたいだ。

< 248 / 283 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop