恋の糸がほどける前に


────この前、観測会で、ようやく貴弘に気持ちを伝えられた。


芽美が、信じて、って言ってくれたおかげ。

貴弘と話すときは、まだやっぱり少しだけぎこちない空気があるけど、でも、後悔はしてない。

言えてよかった。


本当は、振られると分かっていても水原に近いうちに告白するつもりだった。

だけど、やっぱり水原のことを見ると雫先輩の影がちらついてしまって。

私が告白したら、水原とこれ以上ぎくしゃくするだけじゃなく、雫先輩まで傷つけてしまうんじゃないかって思ってしまって。


気づけば12月に入り、だんだんと街はクリスマスモード。

気温もグッと下がって、暖房が入っていない場所に行くのは苦になるくらい寒い。

外に出れば吐く息が白く染まるし、コートもマフラーも手放せない。


季節はもう、すっかり冬だ。


「そうだ、葉純はクリスマス、どうするの?」


「んー、考え中。芽美は?暇ならケーキ一緒に食べようよ」


「えー!ホントにっ!?じゃあ美味しいとこ予約しとくね!」

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