もう一度愛を聴かせて…
第2話 恋を失くした日
橘さんは、家に入るなりわたしの手を引き二階に駆け上がった。

彼はわたしの部屋を知っていた……誰も居ないときに、何度かふたりきりで過ごしていたから。


キスマークを見つけたあと、


「言えよ、奴とやったのか? 何度目だ。他には何人の男と寝たんだ!?」


いつもの優しくて穏やかな彼からは信じられない言葉が飛び出し、わたしは何も答えられなかった。


「俺を騙してたんだな。処女のふりして……俺が夢中になってるのを見て、おまえらで笑ってたのか?」

「そ、そんな……どうして、そんな……わたしは」

「クソッ!」


彼はわたしをベッドに押し倒し、上から体重で押さえ込む。

橘さんがなぜそんなことを言うのか、何を怒っているのかわたしには全くわからない。でも、彼がわたしを傷つけることはないと信じていた。

さっき襲われたばかりなので、身体が小刻みに震える。でも、大好きな彼に逆らえるはずがない。


彼の手はいきなりわたしの胸に触れた。


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