冷たい上司の秘密の誘惑
3.変わる心と、離れる距離
その日に付けられたキスマークは、

消える事を知らないように、ずっと私の首筋から消えない。

1日、また1日。日は経つのに、薄くもならずに、

後が濃くなっていく。…傷が治る前は、濃くなるものだ。

それは分かっていたけれど、どんどん濃くなっていくようで、

何とも言えない気持ちになっていた。


…それに比例するかのように、私の心にも変化が。

異常なほどに、篠田部長を意識してしまっている自分。


それでも篠田部長は、いつもと変わらない様子で、

私と接していた。・・・何事もなかったかのように。

・・・ズルい。

私だけが意識して、篠田部長はまるでただのお遊びだったと言う顔。

何で私だけがこんなにも意識しなければいけないのか?


そんな悶々とした日々。

毎日のように残業ばかりしていて、仕事に集中していれば、

すべて忘れられる、そう思っていたのに。


…あの日以来、篠田部長は、残業はおろか、昼間ですら、

私から距離を置いていると言う事に、1週間ほどが経って

気が付いた。

私を避けているのか?…そう思っただけで、胸がズキッと痛んだ。


それが嫌だった。

私は篠田部長が嫌い、大っ嫌い。
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