異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
第30関門~着いてこい。






光が、見えた。


ものすごいスピードでそちらへ向かった瞬間、差し伸べられた手を取る。


顔を上げれば、癖のある黒が舞って見えた――





(……なんか……痛い)


最初に感じたのは、痛覚。


体の一部に痛みを感じた。


それと同時に、軋むような圧力がある。


自分の体が自分のものじゃないような、そんな感じ。


だけど、確かに痛みを感じてるのは自分で。その違和感を受け入れて理解する。


(あたし……何をしてたんだっけ?)


真っ暗な視界。そうだ、目を開けなきゃとまぶたに力を込める。


ゆっくり開いていく視界に飛び込んだのは、カーテン越しのまぶしい光。


「……朝?」


ずいぶん眠ってしまったのか、身体にだるさを感じる。頭がぼんやりして上手く働かない。


まぶしさに目を細めながら手を動かそうとすると、がっちりと何かが絡んでいるらしく動かない。億劫だけど首を動かせば、自分の指に大きな指が絡まっているとわかった。


「……だれ?」


声を出した瞬間に、とらわれる力が強くなった。


ふっ、と小さく息が吐かれてその主を見ようと視線を移す。


そして――黄金色に輝く瞳と出会った。


「……身体は……平気か?」

「あ……うん。ちょっと重いけど……だいじょうぶみたい」


あたしは、やっと会えた最愛のひとに向かって言葉をおくる。


「……ただいま、バルド」

「……ああ」


おかえり、と素直に言えないぶきっちょさんな彼に、あたしは知らず知らず笑顔になってた。

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