君に捧ぐは、王冠を賭けた愛。
4.疑いの眼差し
どこからか聞こえてきた鳥の声が朝の訪れを知らせる。

「ん…、ここは…」

そういえば、昨日の夜はカナトとの話に夢中になって…。
座ったままで眠りに落ちたんだ。

立ち上がろうとすると、右側にぬくもりがあるのを感じた。

わ…。
私の肩に頬を寄せてカナトが眠っている。
さらに、手も繋いでいるではないか。

え…。
ち、近い。
どうしよう。

一気に鼓動が大きくなる。朝からこの横顔は反則だ。

綺麗な茶色い髪が瞼にさらりとかかっている。
一国の王子が、こんなにも無防備な姿をさらしてもいいのだろうか。

でもそんな姿を見れているのは、ちょっと嬉しい。
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