【SR】だるまさんが転んだ
第五章
「シュンスケ。」


やってきたヴェンに連れられ歩いていくと、古びた二人乗りのジープに乗せられた。


昨日突きつけられた真新しい自動小銃といい、ヴェンはトラックに乗ってきたあの少年達とは明らかに待遇が違う。


この国で、こうして誰しも車を運転出来るはずがない事は、一日バラックの町を見て回った俊介にも分かる。


一瞬、ダルコの息子だからだとも考えたが、肝心のダルコがその事実を知らないのだから、その説は有り得ない。


こうして考えている間にも、エンジン音の五月蠅いジープは、俊介を乗せてダルコの屋敷に向かっている。


言い方を変えれば、命を落とすかもしれない場所に向かっている。


「この車はヴェンの物なのかい?」


「この国にある物全てはダルコの物だ。」


割れているフロントガラスからは容赦なく風が吹き付けてくるが、ヴェンがそれを気にしている様子は無かった。
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