天使ラビィの不思議な珠
6.
そのまた次の日。
ラビィとカピィの絵本をもって、今度はサユちゃんがボクの教室にやってきた。
「サトルくん、これ一緒に読もうよ」
「うん!」
サユちゃんの甘いミルクみたいな声を聞きながら、ボクは昨日のことを考える。
あの時、泣いてしまったのはボクで、スッキリしてしまったのもボク。
カピィがラビィを助けたみたいには出来ないみたい。
「不思議の珠はなくなってしまったけれど、きっと大丈夫です。ラビィの気持ちはいつだって、カピィが分かってくれるから。めでたしめでたし。……はい、読めた!」
「ありがと、サユちゃん」
サユちゃんのピンクのほっぺを見つめながら、ボクは笑った。
そしたら、サユちゃんも嬉しそうに笑ってくれた。
「サユねぇ。本当はこの絵本、あんまり好きじゃなかったんだ」
「そうなの?」
「うん。だって、そんな不思議な珠なんて、あるわけないっておもってたから。だけど」