美狐はベッドの上で愛をささやく

*・゚☆。・*優しいひと。*




 . ゜
。 。
 。





「はい、できた。とても美しいね」


「ぁ……りがとうございます……」




お礼は恥ずかしくてボソボソした小さな声になってしまった。


バスルームでパニック状態になってしまったわたしは、紅(クレナイ)さんに宥(ナダ)めてもらって、なんとかひとりでお風呂に入りきることができた。


お風呂から上がると、父が亡くなった時に着ていた喪服は洗濯機の中に入れられていて、代わりに浴衣が用意されていた。


だけど、わたしには浴衣を着る知識はない。

だから肌着だけを着て、紅さんに浴衣を着せてもらっていた。

浴衣はとても可愛らしい。

紺色の生地にボタンの花が大きく咲いている。

帯は黄色で紺色とすごく合う。


なんでもこの浴衣は、紅さんの家によく遊びに来る親戚の子の忘れ物らしい。


わたしなんかが着てもいいのかな?


後ろめたい気持ちがあるものの、紅さんは微笑んでいるから、大丈夫なのかな……。


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