美狐はベッドの上で愛をささやく

それで、わたしは今、どういう状態かというと……。


ベッドがある部屋で、茶色い浴衣を着た紅さんの膝の上に座っている。


浴衣の最終チェックだって紅さんは言うんだけれど、コレ、接近しすぎじゃないのかな?

かえって見にくくないのかな?



そう思うけれど、わたしは浴衣のことなんてよくわからないから口出しもできず……。

それに何より、紅さんの傍にいたいと思っていたから、大人しく紅さんの膝の上に乗っていた。




――そんな紅さんは、何を着ても似合う。

だけど、浴衣だとより大人の色香がでている気がする……。


わたしの後に続いてお風呂に入った紅さんは、まつ毛の先が少し濡れていて、そのまつ毛に包まれた赤茶色の瞳が蛍光灯に照らされて、輝いている。


唇も少し濡れているし、さっきよりも赤い。


……すごく綺麗。




それにしても、紅さんの親戚の子ってどんな人なんだろう。


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