月の雫 -君と歩む彼方への道-

6.ヤツの秘密

「いいからさっさと背中出せ」

「……油断した」


シルヴァイラは、ぽつりとつぶやいた。


「3つの頭には、それぞれ別の命が宿ってたんだ。

それを見抜けなかった」


どこか弱々しく言う。


「危なかったな。

この程度の傷で済んでよかったかもしれない」


いつもつっけんどんで冷たいこいつの、妙にはかなげな弱々しい様子に。

オレはついつられてやさしい言葉をかけてしまった。


「実戦だったらヤバいところだ。

辺境に配置されたら、実際ああいう魔物はいるからな。

ま、そのための戦闘研修だ。

研修でよかったと思えばいい」
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