幕末仮想現実(バクマツバーチャルリアリティー)
四国連合艦隊
ああ、なんだか、よく寝た。

「京都、天皇の居る方角に向かって発砲したっちゅうことで、長州は、朝敵にされたらしい。幕府軍がいつ攻めてくるかわからん」
ん?隣の部屋から声がする。
誰の声だろ?高杉さんじゃないな。
「朝敵か…。それも、しかたあるまい」
これは高杉さんの声。
「高杉さんはおられるか!」
廊下をドタドタ歩く足音。2人かな?
高杉さんの部屋の前で止まった。
「高杉さんっ!」
「おおっ、伊藤!井上!」
「はいっ!ご無沙汰しておりましたぁ」
「どうしたんじゃ、いつ、イギリスから戻った?」
「はいっ、昨日、無事、長州に戻って参りました」
「そうか」

伊藤と井上って、イギリスに留学したっていう、あの二人が戻って来たんだ。
「高杉さんも、赤根さんもお元気そうで」
「ああ」
赤根さん?先に来てたのは赤根って人かな。
「そんな事より、なんで急に戻ってきたんじゃ?まだ、留学の期間は終わっちょらんじゃろ?」
「はい。実は、イギリスで、四国連合艦隊が下関攻撃するっちゅうのを聞いて、飛んで帰って来たんですっ」
下関って、攘夷って外国船撃ちまくった、あそこだよね、確か。攻撃って?
「なんじゃとっ?四国っちゅうと、何処じゃ」
「イギリス、フランス、アメリカ、それにオランダです」
「本当なんじゃろうな、その話は」
「本当です。我々が向こうを発つ時には、準備が進められちょるって聞いたから、今頃は、もうこっちに向かっちょるかもしれん」
「…」
「高杉さんっ、戦わん方がええですっ。残念じゃが、長州の軍事力じゃあ、外国には勝てん」
「…そうじゃろうのう」
「高杉、幕府軍の方はどうする?」
「幕府となんかあったのですか?」
「幕府どころか、今や、長州は朝敵じゃ。日本中を敵に回しちょる」
「日本中を…。それに、四国連合艦隊…」
「長州はもはや、世の中の孤島じゃ」
高杉さぁん、そんな、投げやりな言い方って。
どうなるのよぉ、これから。

もし、また戦うことになったとしたら、奇兵隊は当然出撃するってことで、その奇兵隊に入るって言っちゃったあたしも、当然、出撃するっていうことに…。

う、今度は怪我だけじゃ、すまなかったりして…。怖いよぉ。
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