幕末仮想現実(バクマツバーチャルリアリティー)
「織田っ!織田っ!」
ん〜?なになになに?
「織田っ!なんじゃ、まだ寝ちょるんかっ」
「すみませんっ。お早うございますっ」
「今から下関に行く。はよう支度せい」
「あ、はいっ」
サっ、パシっ。
んもぉ、レディの部屋に入る時にはノックぐらいしてよねっ。って言っても、障子じゃ無理か。
けど、下関に行くって、もしかして、歩いて行くのかなぁ。透明人間じゃなくなった今となっては、きっとワープってわけにもいかないだろうし。
「織田っ!支度は済んだかっ!行くぞっ!」
「はいっ!」
袴履くのもだんだん慣れてきて、この手際のよさっ。
自分でもびっくりしちゃう。
よーし、準備OKっ。いざ、玄関へっと。
「遅い。行くぞ」
「えーっ」
「なんじゃ?」
「あたし、馬になんか乗れませんっ!」
馬で行くわけぇ?
高杉さんは颯爽と乗っちゃってるけど。
「ったく、世話の焼ける奴じゃのう。ほら、乗れ」
「え?」
ああっ!
引っ張られて、高杉さんの後ろに乗っちゃった!
「落ちんように、ようつかまっちょけっ」
「はいっ」
「行くぞ。たぁっ!」
うわぁ〜っ、ゆっ、揺れるぅっ!
はっ、速いっ。
馬って、速ーいっ!
これで、下関まで行くのぉ?
オシリ痛くなっちゃう。
それより、馬酔いしそ。
けど、下関に何の用があるんだろ。
「下関に何の用があるんですかー!」
「攘夷の仕返しに連合艦隊が攻めて来よったんじゃっ。伊藤と井上が話し合いに行っちょるが、どうも、うまくいっちょらんらしい」
「仕返しって事は…戦になるんですか」
「わからんが、なるかもしれん。赤根ら奇兵隊は戦に備えちょる」
「奇兵隊がっ」
「そうじゃ。織田っ、お前も奇兵隊の一人なら、戦の覚悟をしちょくことじゃ」
「はいっ」
つったって、覚悟したくな〜いっ!

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