スーツを着た悪魔【完結】
なんてことない冗談のように言葉を続ける深青が、怖かった。
「幸せになることに極端に怯えて、拒んでる」
「やめて……」
「まゆ」
「――ッ……」
そんなの違う。
いや、違う?
違わない。
だって、確かに深青の言うように、明日死んだって……なんの未練もない。
むしろ、死ねたら……どんなに楽かって、思ったこともあったくらいで……
悠ちゃんが「生きるのは償いだよ」って言うから死なないだけで……
「まゆ……俺は生きる理由にはならないか。おまえの幸せの理由にはなれない?」
「――やめて、よ……」
そんな言葉で誘惑しないで。
幸せになれるよって、ささやかないで……!