時のなかの赤い糸

武士よりもっと武士らしく



「歳、ちょっとこれはきつすぎやしないかい?」



「このくらいは必要だよ近藤さん」




土方が近藤の部屋で巻物を見せていた。



「俺達はもとからの武士だった訳じゃねえ。
だから壬生なんてバカにされて、
やっと武士と認められたんだ。
それなら、
武士よりもっと武士らしくしよう」




土方の説得で近藤はゆっくり頷いた。




―――――――
――――――――



「とりゃっ」


―――――――キーン…




稽古場に今までにない緊張感が溢れていた。



新撰組の隊員が刀の稽古をしているのだが、真ん中に土方が座り、睨むように皆の様子を見ていた。




「でさぁ」
「あははっ」




土方が私語をしていた隊員のもとに歩きだすと、刀を向けた。




「……!?」



一同が静まりかえるなか、土方がゆっくり口を開いた。



「次は斬る」



そう低い声で言うと、隊員はその場に土下座して謝った。




< 70 / 506 >

この作品をシェア

pagetop