ベリーズ文庫編集部×プロ脚本家コラボ座談会!「令和の恋愛について」

司会:ベリーズカフェラブストーリー大賞について脚本家である桐乃さちさんとともに編集部座談会を始めます。よろしくお願いいたします。


編集A・B・桐乃:よろしくお願いします。


司会:今回はコンテストの内容を交えながら「令和の恋愛について」お話できればと思います。

トークテーマ

  • 【ベリーズカフェラブストーリー大賞】について
  1. 長編部門テーマ「障壁のある恋」
  2. 短編部門テーマ「運命を変えた●分間」


  • 【今、求めている恋愛ドラマ】について
  1. 変わりつつあるヒーロー像とヒロイン像
  2. 感情描写の描き方


【ベリーズカフェラブストーリー大賞】について

長編部門テーマ「障壁のある恋」

司会:「障壁のある恋」というテーマを発案されたきっかけなどは何かありますか?


桐乃:まず、最近の恋愛ドラマは辛いことや苦しい展開が続くと視聴をやめてしまう場合が多い風潮にあります。


編集A:これは小説も同じですね。


桐乃:でも、恋愛ドラマは壁があってこそ面白くなると思っています。大切なのは今の時代、どんな障壁があると面白いのか。

そして、登場人物がどんな方法でその壁を乗り越えていくのか。


編集B:尊い二人を見守りたい!という読者の気持ちは担保しながら、その二人が乗り越えなければならない壁があることでさらにストーリーの面白さが増していきそうですね。


編集A:自分の作品のキャラクターだったらどうやって乗り越えるのか、意識して考えてみるのもいいかも。


桐乃:障壁の乗り越え方は人それぞれ、何通りもあります。読者の方がこんな乗り越え方もあるんだ!と思って希望をもてるような作品を見てみたいですね。


司会:令和版ロミジュリのような作品、面白そうです!

短編部門テーマ「運命を変えた●分間」

司会:次は「運命を変えた●分間」について。こちらは何か注目ポイントなどありますか?


桐乃:「●分間」とあるように時間や、その他だと場所などを限定する手法は脚本でもよく使います。制約があると逆に想像力がかきたてられるんですよね。


編集A:確かに!例えばヒーローがヒロインを救わなければならない、でもヒーローは海外出向の予定があってタイムリミットが迫っている…!のような。ちょっとした制限があるだけでも想像が膨らみそうです。


桐乃:あと、面白いシチュエーションや制約を考えることも大事ですが、「そのキャラクター」が「その状況」で「どういうことをするのか」という点をより大事にしてほしいです。


編集B:同じ状況でもキャラクターによってリアクションは変わってきますもんね。


編集A:そのキャラクターならではの行動が作品の個性に繋がりそうです!


桐乃:このテーマは短編作品の募集になるので、限られた時間の中でいかに早くキャラクターたちに感情移入をさせられるかという点もカギになってくると思います。

【今、求めている恋愛ドラマ】について

変わりつつあるヒーロー像とヒロイン像

司会:現代の働く女性の共感するヒロイン像、理想とするヒーロー像にも変化がありそうです。


桐乃:そうですね。最近は男性に乗りかかりすぎない、自立した女性のほうが現代っぽいヒロインかなと思います。自分の人生を自分の力で切り開く女性に変わってきているんじゃないかなと。逆に、ヒーロー側もやさしさの中に自分の弱さも見せてきて、その弱さを女性が助けてあげるような話も多くなってきたように思えます。


編集B:弱いところとか、ちょっと隙を見せてくれる男性のほうがかわいげがあってよかったりしますもんね。


女性側が素敵だなって思う男性像も変わってきているのかも。


編集B:確かに!外見やステータスよりも「一緒にいて楽しい」とか「価値観が合う」みたいな部分を重視しているかもしれません。してもらうよりもお互い平等に、を求める女性が増えてきているからこその変化かもしれませんね。


桐乃:あとはキャラクターの描き方について。主人公とかって、ある意味スーパーマンというか、憧れる存在だったりするんですけど。そうではない、ちょっと抜けてる部分を先に出しておくと、この人、私と一緒だみたいに思って感情移入してくれるっていうのは、脚本のテクニックではあります。凄腕のビジネスマンだけど朝は必ず牛乳を飲んでいるとか。


編集A:確かに。自分と同じ人なんだと思うと共感できますね。


編集B:全然違うところもあるけど、もしかしたら隣に住んでいるかもとか。この現代に生きていそうだな、みたいな部分があるとよりキャラクターやストーリーのリアリティが増しそうです。

感情描写の描き方

司会:感情表現の描き方についてはいかがでしょうか。


桐乃:感情描写について、意外と人は本当の自分の気持ちを話さないとよく言われています。脚本でも自分の気持ち、例えばこの人が好きだといった気持ちは言葉に多くは出さなくて、行動で示すものだったり。


編集A:確かに。好きな人に最後まで好きだと言えなかった人も「あの人に好きだと言いたかったんだ」と言葉にするより、夜に一人でラーメンをやけ食いしていたり、そういう描写で描かれることも多そうです。


編集B:感情表現のリアルさはそういうところに出るのかもしれません。でも、小説の場合は言わせたくなっちゃいますよね。


桐乃:小説の場合、行動の裏付けとしてキメの台詞があるのは大事かもしれませんね。


編集A:そうですね。こういう行動しちゃってる理由はきっと独占欲なんだろうなとか、焦燥感なんだろうなと思わせてくれる表現は入れてもらったほうがいいのかなと思います。そっちのほうが好きだって言葉にきいてきそうで読んでいてもドキドキします。


桐乃:好きと言わせずにどういう行動をとらせるのか。感情をどう想像させるか、という部分はポイントになりそうです。今の時代だと好きな人のSNSを何度もチェックしてしまうとか。


編集B:確かに。メッセージアプリを何回も開いたり。既読ずっとつかないなってつい見ちゃうとか。


司会:両想いだけど、その好きという気持ちをあえて行動で見せるというテクニック。ぜひ試してほしいですね!

おわりに

桐乃:ベリーズカフェラブストーリー大賞のテーマについてはコンテストページにも補足を入れさせてもらいましたが、入れきれなかった部分をこういう場でお話することができて良かったです。


編集A:こちらこそ、貴重な脚本目線のお話を伺うことができて大変良い体験となりました!


編集B:ぜひエントリーいただくみなさんにはこの座談会の内容を作品作りに活かしていただきたいですね。


司会:みなさま、本日はありがとうございました!

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