極上ショコラ【短】
「パーティー会場のホテルの部屋を押さえてありますので、そのままお泊まりになって頂けますから。今回は参加して下さい」


再び頭を下げたあたしの頭上から、深いため息が降って来た。


篠原程の作家なら敢えてメディアに露出する必要は無いけど、原作者がクランクアップの祝宴に出ないというのは些か問題なのだ。


ましてや、主演女優が彼の出席を熱望しているとなれば、社長や編集長が今後の利害関係を懸念するのも無理は無い。


出来る事なら、篠原の意思を汲みたいと思うけど…


あたしには彼の意向を尊重出来るような力も無く、残念ながら上司に言われた通りにするしか無いのだ。


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