極上ショコラ【短】
取り柄はもちろん、秀でた容姿も持ち合わせていない。


そんな自分(アタシ)の何が篠原の目に留まったのか、未だにちっともわからない。


憂鬱過ぎてこのまま帰宅したくなったけど、そんな事をすれば彼の機嫌を損ねるに違いない。


すっかり忘れていたけど、ここに来る時に篠原から「極力傍にいろ」と言われていたのだ。


セリナさんと過ごしている彼も忘れているかもしれないし、そもそも暴君の気まぐれに付き合う事も無いのだろうけど…


『パーティーの後、お前も泊まれよ』


その約束を思い出し、頭をブンブンと振って脳裏に焼き付いていた笑顔のセリナさんを何とか追い出した。


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