極上ショコラ【短】
「生意気なんだよ」


低くゆっくりと零された不満に、視線を落とす。


言い過ぎた事はわかっているけど、今日だけは謝罪を紡ぎたくは無い。


そんな気持ちから唇をギュッと閉じていると、篠原の顔が更に近くなった。


「……雛子のくせに」


焦燥と嫉妬に独占されていたはずの心が、彼に名前を呼ばれただけで小さく弾む。


安上がりな自分が嫌で更に苛立ち、頭に浮かぶのは篠原を罵る言葉ばかり。


だけど…


「勝手に俺の視界から消えてるんじゃねぇよ」


不機嫌に呟いてあたしの唇を塞いだ篠原に、抱いた感情達を言葉にする事を遮られた。


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