極上ショコラ【短】
やめて、と言いたいのに。


放して、と訴えたいのに。


簡単にあたしの舌を捕らえた篠原に、それを口に出す事は許されなくなる。


パーティー会場での事が忘れられなくて、ムカついて堪らない。


それなのに…


「しかも、勝手に男と喋ってんじゃねぇよ」


篠原が紡いだ言葉の意図に気付いて、負の感情が僅かに和らいだ。


「何であんなに仲良さげなんだよ」


どんな見方をすれば、仲良くしていたように見えるのだろう。


その答えを聞いてもきっと理解し難いだろうと思いつつ、篠原の苛立ちの原因にようやく辿り着けたような気がした。


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