極上ショコラ【短】
「言えよ、この唇で」


親指であたしの唇に触れた篠原は、いつに無く真剣な表情をしている。


だから、今日こそちゃんと伝えるべきなのだと覚悟を決めようとしたけど、1年以上掛けて出来なかった事をすんなりと実行出来る訳が無い。


「先生だって言ってくれないじゃないですか。好き、なんて……」


そんな気持ちから告げれば、篠原が眉を小さく寄せた。


休憩が与えられたお陰で息が整い、はっきりと言葉を紡ぐ事が出来る。


「本当はあたしみたいな女なんかより、セリナさんみたいな女性の方がいいんじゃないですか?」


それをいい事に、またしても悪態が出た。


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