極上ショコラ【短】
好き……


心の中ではこんなにも簡単に言えるのに、篠原の耳に届かせる方法を知っているのに。


どんな顔をすればいいのかわからないし、それ以前にあまりにも恥ずかしくて。


まるで懇願にも似た表情を目にしながらも、強情な唇は動かない。


篠原と付き合って、1年と少し。


その間に色々とあったし、相変わらず暴君な彼に振り回されてはいるものの、それなりに上手くいっていると思うけど…


あたし達は付き合い始めた日以降、どちらも自分の気持ちを言葉にしていないのだ。


しかも、あたしに至っては、【失恋ショコラ】に対して“好き”と言った事になっている。


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