祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】
2人には周りの音は聞こえない。

聞こえるのは高鳴る鼓動だけ。




気付くと2人は唇を重ねていた。



お酒の匂いがする吐息。

それさえ鼓動を増させる。




「……キヨ。俺から…解放してやる。“もう、いいよ”。これからは優しくするのはケンだけにしろ」


「イノリはどうして期待させてから、そうやって突き放すの?…こんな事されて離れられるわけないでしょ!?」


「今のお前なら大丈夫だ。歩いていける。……お前はもう、俺のことは好きじゃないんだ。だからもう、立ち止まるな」




イノリはそう言ってキヨの頭を撫でると、居酒屋から出て行った。



キヨは見えなくなったイノリの背中に、何度も何度も頷いていた。





最後のキス。

それはキヨの迷いを消す為の最後の優しさ。





キヨはそれを理解したのだった。
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