私の初恋は屋上で
『ん‥‥。』
知らない壁、知らない布団。
知らない匂い‥‥いや、知ってる。
この匂いは!
『おに‥‥い‥‥ちゃん‥‥。』
右手を精一杯前に伸ばす。
きゅ‥‥‥‥。
『心愛、起きたか。大丈夫か?』
優しい笑みを浮かべるこの人は‥‥。
『齋藤‥‥‥純也』
『純也でいい。』
トクン‥‥。
『おに‥い‥‥ちゃん‥‥。』
『父さんはいまお粥作ってる、待ってろ。』
『うん‥‥ 。』
トクン‥‥。
なんだろ、これ。
心臓がトクントクンって言ってる。
あれ、そーいえば。
『さいと‥‥‥‥純也が連れてきてくれたの??』
『ああ。』
『ありがとう。迷惑かけてごめんね。』
なぜか自然に言葉が出てくる。
なんでだろう、私ってこんなに素直だったっかな?
みるみる純也の顔が赤くなっていく。
熱、あるのかな?
ヒヤ‥‥。
『っっ!!////』
『冷たい?これで熱さがる?』
『これ、熱じゃねーよ』
ぷい、と横をむく純也。
なぜか懐かしみを感じる。
なんで?
なんか昔にも、こんな事が‥‥‥
ガチャっ!!
『心愛!!!起きたか、よかった!!』