スイートホーム
「加奈のせいじゃないし、そして私自身も自分が悪いとは思ってない。たとえ今から高校時代に戻れたとしても、私は梨華の為に働きかけをするつもりはないよ。むしろ、最初から友達付き合いすらしないかも」
麻美は凛とした口調で続ける。
「私達はあの子のお母さんじゃないんだから、人格形成まで責任持てないよ。っていうか、肉親でも矯正は難しいかも。「人の物を盗ってはいけません」なんていう道徳心は、小さい子でも理解できる事でしょ?児童心理について勉強して来て、現場で生の声を受け止めているあんたなら良く分かってると思うけど」
「…うん」
神妙な表情で、加奈は頷いた。
保育課程のある大学を出たからといって必ずしも幼稚園教諭、保育士になる訳ではないようで、加奈は一般企業に就職していた。
といっても、乳幼児の知育に関する教材を企画、販売する会社で、モニターを依頼したりイベントを開催したりしてその年代の子達と触れ合う機会は数多くあるので、大学で得た知識は大いに役立っているようだ。
「それなのに、梨華は高校生の時点であんな状態だったんだから。いくら言い聞かせてもダメだったと思う。実際に、私は何度か皆よりちょっとキツめに助言した事があったけど、その都度弱々しく涙ぐんじゃったりしてさ。まるで私がいじめてるみたいだった」
その時の光景が甦ったのか、麻美の口調はちょっと憎々しげになった。
麻美は凛とした口調で続ける。
「私達はあの子のお母さんじゃないんだから、人格形成まで責任持てないよ。っていうか、肉親でも矯正は難しいかも。「人の物を盗ってはいけません」なんていう道徳心は、小さい子でも理解できる事でしょ?児童心理について勉強して来て、現場で生の声を受け止めているあんたなら良く分かってると思うけど」
「…うん」
神妙な表情で、加奈は頷いた。
保育課程のある大学を出たからといって必ずしも幼稚園教諭、保育士になる訳ではないようで、加奈は一般企業に就職していた。
といっても、乳幼児の知育に関する教材を企画、販売する会社で、モニターを依頼したりイベントを開催したりしてその年代の子達と触れ合う機会は数多くあるので、大学で得た知識は大いに役立っているようだ。
「それなのに、梨華は高校生の時点であんな状態だったんだから。いくら言い聞かせてもダメだったと思う。実際に、私は何度か皆よりちょっとキツめに助言した事があったけど、その都度弱々しく涙ぐんじゃったりしてさ。まるで私がいじめてるみたいだった」
その時の光景が甦ったのか、麻美の口調はちょっと憎々しげになった。