スイートホーム
「え、えっと…。あ、どうやらスイミングスクールみたいですね」


チラリと見えた看板で答えが分かったので、私は嬉々としてそう報告した。


「もう数え切れないくらい頻繁に利用している路線なのに、初めて知りましたよ」


と、言葉を発している間にも、車窓の景色は流れ、スイミングスクールは瞬く間に小さくなって行く。


「そうか」


それだけ言うと、小太刀さんはまた無言になってしまった。


あ、あれ??


あっけなく終了した会話に、思わず拍子抜けする。


わざわざ問い掛けて来たワリには、さほどあの建物の正体に関心があった訳ではなさそうだ。


涼しげな表情で外を眺めている小太刀さんをチラリと確認したあと、私の視線は自然にその後方へと流れた。


行き着いた先には、件の男性の姿が。


私と目が合うと、彼は一瞬ビクッと肩を揺らし、慌てて踵を返して、そのままそそくさと反対側のドアまで行ってしまった。


………あ。


鈍感過ぎる私は、今さらながらにその事実に気付く。


そうか。

そういう事だったのか。


と同時に、鳩尾の辺りが、『ギュー』っとキツく強く、締め付けられた。
< 147 / 290 >

この作品をシェア

pagetop